宮澤 淳夫
生体の機能には、必ず物質と構造の
裏付けがある。 構造を知らずして、
機能を語ることはできない。
(by Dr. Hama)
子供のころ、たまたま出会った絵本、ビアトリクス・ポターのピーターラビット。毎日、何度も何度も読みかえしているうちに、そらで覚えてしまった。
英国留学中、湖水地方のヒルトップに行き、ピーターラビット博物館でぬいぐるみを手に入れた。正真正銘のヒルトップのピーターラビット。今でも、一緒に電子顕微鏡観察をする.良き友だ。
研究に必要な9ヶ条 (by Dr. Fujiyoshi)
1.ひらめき
2.実験に対する明確なビジョン
3.探求する情熱
4.強い意志
5.シャープな判断力
6.エレガントな実験
7.見通しの良いこと
8.柔軟性に富むこと
9.寛容・忍耐・誠実
プロフィール
学部の卒業研究は、その年、横浜市立大学医学部から早稲田大学人間科学部に異動されてきたF先生の研究室に決めた。研究室の引っ越し中であったことから、実験は東京大学薬学部で行った。米国留学から帰国されたU先生の脂質科学と免疫学の指導の下、「リン脂質に対するモノクローン抗体の作製」に取り組んだ。
修士課程では、群馬大学医学部でF先生から免疫組織化学の指導を受けた。博士後期課程は、早稲田大学の研究室(人間科学部のある所沢キャンパス)で、生理学研究所から移られてこられた浜
清先生のお手伝いとして電子顕微鏡を始めた。また、故 山本章嗣先生(関西医大)に徳安法を習い、故
八木澤仁先生(自治医科大学)にイムノアッセイ法を習い、K先生(三菱化成・生命科学研究所)に細胞内Caイオンイメージングを習い、Y先生(金沢大学医学部)にサル脳海馬の解剖を習った。博士論文は「小脳神経細胞におけるイノシトールリン脂質情報伝達系の免疫組織化学的解析」、光学顕微鏡法による神経シグナリングの免疫組織化学研究であった。
博士後期課程3年も終わろうかという時に、浜 清先生に「タンパク質を凍らせてクライオ電子顕微鏡で見て、それらの構造を調べることができるようになった。面白そうだから、やってみたら良いでしょう。」と言われたのが、大阪府吹田市でポスドクとして電子顕微鏡分野に就職するきっかけだった。最初の半年間は蛋白工学研究所のF先生の背中を見て、クライオ電子顕微鏡の操作法とコーヒーの淹れ方を学んだ。縁あってDr.Nigel
Unwinに誘われ、HFSPのFellowshipを得て、英国ケンブリッジのMRC分子生物学研究所に3年間留学した。毎日、“Fish
Lunch !”と声をかけられるほど、シビレエイの解体に没頭し、膜タンパク質の電子線結晶解析に取り組んだ。夏にはシビエレイを捕まえにプリマスからフェリーに乗って、フランスのプリュターニュ地方にあるロスコフという街まで出かけたのは良い思い出である。
帰国後、理化学研究所播磨研究所の研究プロジェクト(7年)に任期制研究員として参加し、さらに第二期の研究プロジェクト(7年)にはグループディレクターとして参加した。現在の定年制の教授職を得たのは、大学院修了から足掛け16年。ふり返れば、半年から7年程度の任期職を6つも渡り歩いていた。
これまでの道のり、「研究する人生」は、旅と出会いのシンフォニーのように思える。多くの良き師、良き仲間のおかげである。心より感謝。